口で測った場合の平均体温は37℃ですが、通常日中は変動します。運動をしたり、厚着をしたり、暑いお風呂に入ったり、ただ単に気温が高いと言うだけで、体温は軽く上がります(38〜38.5℃)。同様に、温かい食べ物や飲み物も、口腔体温を上昇させます。これらが原因で子供の熱が上がったと思われる場合は、30分後に再び体温を測定してみます。医師に電話をする前には必ず熱を測りましょう。

 

発熱とは、病気に伴う症状です。感染に対する正常な反応で、体が戦うのを助けるために貢献しています。発熱の大半(38〜40℃)は危険ではありません。ほとんどの場合、ウイルスによって感染が起こりますが、細菌による場合もあります。歯が生えてくることは、直接の発熱を引き起こす原因ではなく、口の中に手を入れることが、感染症を起こす素因となります。たいていの発熱は4〜10日間続きます。一般に発熱の高さと病気の重症度にはあまり関連がありません。重要なのは、子供の具合と熱に伴う症状です。発熱が41.7℃以下ならば障害がでることもありません。

 

発熱は全ての子供に見られますが、その中の4%が、軽い熱性痙攣を引き起こします。見ると怖いですが、一般には無害で、過度に心配する必要はありません。もし熱が高くても、痙攣がない場合は、おそらく危険はないでしょう。

 

3ヶ月未満の乳児が38℃以上の発熱した場合、すぐに小児科での検査をした方がいいでしょう。もし、赤ちゃんがこの月齢なら、解熱剤を与える前に、かかりつけ医に電話をしてください。

3ヶ月以上で39℃以上の熱がある場合も心配です。一般には良性のウイルスによって引き起こされますが、以下に該当する場合はかかりつけ医に診察してもらってください。

-24ヶ月未満の女児

-6ヶ月未満の男児及び12ヶ月以下の割礼をうけていない男児

-3歳未満の肺炎球菌とHibのワクチンを2回以上接種していない子供

-発熱に伴い、以下の症状が現れた場合;頭痛や肩こり、奇妙な発疹、耳の中の鋭い痛み、呼吸が速くなる、とても具合が悪そうに見える

 

ホームケア

水分をとることと薄着になることが大切です。水分を取るようにすすめましょう。ただし、無理矢理飲ませないでください。アイスキャンディーや冷たい飲み物がよいでしょう。発熱すると、汗をかくことにより、体内の水分が失われます。着込むのは危険です。皮膚からの熱蒸発によって熱がさがるため、最低限の洋服を着せましょう。着込みすぎると、高熱が出る可能性もあります。子供が寒がったり、寒気がして震える場合には、薄い毛布をかけましょう。

 

 

 

1)3ヶ月以上であればパラセタモール/アセトアミノフェンのいずれかの解熱鎮痛剤が飲めます。フランスで良く使用される薬はEfferalganとDolipranです。ジェネリック医薬品はブランド名の薬と成分、効能が同一で、ほとんどの場合、より低価格です。

熱は感染と戦うためにあがっているため、主に熱が38.5℃以上あって調子が悪そうな場合だけに薬を与えてください。

 

投与して2時間後には、熱が1〜2℃さがります。薬を飲む前に非常に高熱でなかった場合をのぞき、平熱に戻ることはありません。病気の間、熱が上がったり下がったりするため、薬を与え続けることが必要です。就寝時には起こしてまで薬を与えないでください。

パラセタモール/アセトアミノフェンの量:1キロあたり15mgで、4時間以上間隔をあけて与えます。フランスでは1キロ毎にラインのついた注射器のようなスポイトがついてきます。

 

3ヶ月未満の幼児には医者の指示を仰ぎ、アセトアミノフェンは与えないでください。

 

2)イブプロフェン;イブプロフェンは一般にパラセタモール/アセトアミノフェンより解熱作用が強く、鎮痛作用もあります。パラセタモールと同じく安全(フランスで、イブプロフェンはパラセタモールより安全ではないと報道されましたが)で、6ヶ月以上の乳幼児に使用できます。水疱瘡の場合やウイルス性胃腸炎などで脱水症状を起こしている場合には、使用しないでください。アセトアミノフェンは4〜6時間なのに対し、イブプロフェンは6〜8時間と効用が長いです。長期間にわたって熱のコントロールが必要な特別な問題を抱えている子供にはイブプロフェンの投与がいいでしょう。

 

フランスで良く知られているメーカー品はAdvil, Antarene,Brufen,Ibuprofen,Nureflex,

Spifenなどです。パラセタモール/アセトアミノフェンと同じく、1キロ毎にラインのついた注射器のようなスポイトがついてきます。

 

3)一般に、アセトアミノフェンとイブプロフェンを交互に投与する必要性はありません。

 

4)アスピリンの使用は控えましょう。米国小児科学会は21歳までの子供に対して、水疱瘡やインフルエンザ(風邪や咳、喉の痛みの症状)の場合は服用しないように推奨しています。いくつかの研究でアスピリン投与と急性脳症を引き起こすライ症候群の強い相関が示されています。ほとんどの小児科医は、病気から起こる発熱へのアスピリンの処方をやめています。

 

5)30℃程度のぬるま湯でゆるくしぼった手ぬぐいで身体を清拭して下熱させる(スポンジング):熱を下げるために、スポンジングは必要ありません。アセトアミノフェンを与える前にスポンジングをすることは、控えてください。日射病やせん妄(意識混濁に加え

て幻覚や錯覚が見られるような状態)、熱性痙攣、熱が41.1℃以上ある場合などの緊急状態の場合に限り、すぐにスポンジンングをしてください。もしくは、熱が40℃以上あって、アセトアミノフェンやイブプロフェンを服用して30分後にもまだ高熱が続いていて、子供が熱に耐えられない場合にだけ、スポンジングをします。アセトアミノフェンとイブプロフェンが効果を及ぼすまでスポンジングは震えを生じさせますが、体温をあげようとする普通の反応です。

 

スポンジングは、29〜32℃のぬるいお湯で行います。 緊急の場合は、もう少しだけ冷たいお湯を使います。スポンジングは、お湯につかるよりはるかに効果があります。4.5センチほどのぬるま湯に座らせて、皮膚の表面を濡らします。肌のお湯が蒸発することによって冷却されます。もし、寒気がして震えるのなら、お湯の温度を上げるか、アセトアミノフェンかイブプロフェンが効果を発揮するまで、スポンジングをやめましょう。熱が38.3℃以下になることを期待しないでください。吸い込んで昏睡状態を引き起こすこともあるため、消毒用のアルコールを足さないでください。

 

すぐに小児科医に連絡を要する場合

 

*3ヶ月未満の乳児

*熱が40.6℃以上ある

*ぐったりしている

 

24時間以内に小児科医に連絡をする場合

*3ヶ月〜6ヶ月未満の乳児(三種混合DTPが原因の発熱をのぞく)

*熱が40〜40.6℃ある

*感染の場所や原因が分からない発熱が24時間以上続く

*3日以上熱がある

*心配事や質問がある